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愛という名の聖戦(72)

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《ご注意》第一話の注意事項をご確認の上、ご了承いただける方のみ閲覧下さい。7~53、58、60~62、66、68話はお気に入り登録者様限定です。シャルルが病気設定です。閲覧は自己判断でお願いします。





愛という名の聖戦(72)




「ねえ薫。後ろのリボン、曲がってない?」
「知らないよ、そんなもん。自分で鏡に映して見ろよ」
「いじわる言わないで見てよっ! 今日の結婚式には大勢の人が来るのよ。へんてこりんな衣装だったら、恥かいちゃうわ。さっきから自分でチェックしてるんだけど、ほら、今この状態だから首が回らないし、しかもコンタクトが朝からひどく痛くて、ものが二重に見えちゃってるのよ」

椅子を逆向きにして、背もたれに両肘を置き、その上に顎をだるそうに乗せた薫は、わめくあたしを鏡ごしで眺めながら呆れたようにため息をついた。

「二重に見える? おまえさん、そりゃ、コンタクトの向きが合ってないんだよ。それ、近視だけじゃなく乱視矯正も入ってるだろ? 乱視矯正用レンズっていうのは上下があって、それをちゃんと合わせないで適当に入れると、めちゃくちゃに見えるのさ」

ええ、そんなぁ!
この日のためにせっかく作ったコンタクトなのにっ。
焦りながらあたしは鏡に向かって顔を突き出して、目をパチパチ。

「うう、痛い……。ねえ薫、こっちに来て、リボンついでに、コンタクトも直してくれない?」

薫はフンと大きな鼻息を吐いた。
襟元でだらしなく外れた蝶ネクタイが、プランと揺れた。

「あたしゃ、お前さんのブライズメイドをやりにここに来たわけじゃないぜ。ただの参列者だ。目ん中の世話までしてられるか。自分でやれ」

ひどいわ!
あんたには、まもなく花嫁になろうっていう親友への友情はないの!?
あたしだってね、自分でできるならやるわよ。
できないから頼んでるんじゃないのよ、それぐらい親友ならわかれ、この冷血漢っ!!

「だって、この通り両手がふさがってるもの。できないわよ。じゃあ、せめてこの子をお願い。その間にドレスもコンタクトも自分で直すから」

薫の傍にある小さな丸テーブルの上には、太陽の形をしたブランデーボトル。
それは、懐かしき名酒レミ・マルタンっ!
彼女がメイドに言いつけた様子はなかったから、これはおそらく薫が持ち込んだものにちがいない。
ああ、世の中広しとはいえ、親友の結婚式に専用のブランデー持参でやってくる乙女がいるだろうか?
長い付き合いの親友の非常識さに呆れるあたしの前で、薫は、最愛のレミ・マルタンちゃんに頬ずりしながら、その中身をロックグラスに慎重に注いで、くいっと一気に呷った。
そしてきっぱりと一言。

「このあたしが、ガキの世話をできると思うか?」

あまりにもいさぎのよいその言葉に、あたしはしばし考え込んだ。
それはまぁ、そうよねぇ……。
薫と赤ちゃん、ううむ、とっても組み合わせが悪い。
東京湾に出現したゴジラに、生まれたてのヒナ鳥を「よろしくっ」と預けるに近い感覚。
まあ薫は一応女性だし、心根は優しいんだけど、不器用で大雑把なところがあるから心配といえば心配。
万が一わあわあ泣きだしちゃったら、ミルク瓶を口に突っ込んで、ベッドの上に放置して、自分はバイオリンを弾いて「ミルク飲ませて音楽を聴かせときゃ、そのうち泣き止むかと思った」とか言いそう。
あたしはちょっと悩んだんだけど、他にどうしようもなかったので、彼女に平身低頭して頼んだ。

「薫、そんなこと言わないでお願い。助けてよ。早く準備を整えないと、時間がきちゃうわ。ジルはあたしにドレスを着せたあと、シャルルの準備に行っちゃったし、メイドたちは聖堂の準備にかかりっきりだし、日本から来ているあたしの母さんや姉さんは、この機会にと朝からランス観光にでちゃったし」

途端、薫は、あははと豪快に笑った。

「さすがマリナの家族だな。じっとしているのは時間の無駄ってわけか。ハングリーというか、落ち着かないというか。つまりそういう人種を一言で言うと」
「言うと?」

薫はピッと人差し指を立てて、それをあたしへと倒した。

「貪欲。おまえさんそっくりだ」

うわーんっ!
まあ、なんて言い草なんだろう。
これが、純白のウエディングドレスに包まれた花嫁に対する言葉なんだろうか!?
ああ、悲し!

「とにかくっ、コンタクトとドレスのリボンを直すから、この子をちょっとだけ抱いてて。大丈夫よ。今はよく寝てるし、あたしに似て、一度寝たら簡単には起きないから」

そうよ、抱いてるだけよ。
あんたの大事なニコロ・アマティだと思ってくれればいいわ。
そうよそうよ、それならできるでしょ!?
優しく優しく壊れ物として扱えば、目を覚まさないから迷惑かけないわ。
それともあんたはあたしが結婚式で恥をかいていいっていうの!?
アルディ家夫人として輝かしい未来へ踏み出そうとしているあたしへの、これがあんたからのはなむけの態度ってわけね。
つまり酒を飲んでクダを巻きに来ただけ。
それがあんたの友情なのね。
よーくわかったわ、もう知らん!!
マシンガンのようにわめくあたしに恐れをなしたのか、それともめんどくさくなっただけのかは定かではなかったけれど、

「ちっ、しょうがないな」

薫は眉をしかめながらも、ようやくグラスを天板に戻して、立ち上がってくれたのだった。
ほっ!
薫はあたしのそばに来ると、宇宙人でも見るような目つきをした。

「ただ抱いてりゃいいんだな。泣いても知らんぜ。責任はもたんからな。……ところで、母親のおまえさんに似ても似つかぬこの美しい赤子の名前は?」

あたしは苦笑いしながら、息子をよいしょっと抱き直した。
薫の言う通り、あたしの小さな坊やは、父親そっくりなの。
今は寝ちゃってるけど、長い睫毛の下のぱっちりお目目はきれいなブルーグレーだし、肌は雪のように白くて、輪郭や鼻のラインも完璧、しかも髪は月光を集めたような白金髪。
うーん、あたしの遺伝子はどこにいっちまったんだろうか、不思議。
きっとお腹の中で分裂していくときに、あまりにもパーフェクトなアルディの外見製造遺伝子を目の当たりにして、あたしの遺伝子ちゃんたちは恐れをなして、尻尾をまいて退散しちまったにちがいないわ、うっ、うっ、う。

「名前はケンっていうのよ」

薫はふーんと言いながら、乱暴なしぐさで長い前髪をかき上げた。

「ずいぶん日本的な名前だな。マリナがつけたのか」

あたしは首を横に振った。

「シャルルよ」

薫のほおがぴくっと歪み、意外だという表情になる。

「へえ。あいつがね。もっと凝った名前をつけそうだけど。なんとか三世とか」

あたしは苦笑をした。

「どの言語の人からも呼ばれやすい名前にしたかったんだって。大きくなった時に、世界のどこに住んでもいいようにって」
「アルディ家を継ぐんじゃないのか?」
「もちろん、それも選択肢よ。だけど、最終的には自分で自由に選んでほしいんだって。そのためには短い名前がいいって」
「……びっくりしたな。あいつがそんなことを言うなんて、アルディ家ガッチガチの、それしか頭にないやつだとおもってたけど」

歯に衣着せない薫の言い方に、あたしは息をついて言った。

「それはね、彼の弟のことがあったからよ」
「弟?」

あたしはうなずいた。

「シャルルを助けて、死んじゃったの。薫にはまだこの話をしてなかったわね。――というか、あんたがガバガバ酒ばっか飲んでるから話が全然できないんじゃないのよ。ここは飲み屋じゃないわよ」
「ふん」

薫は腕を組み、昂然と顔をのけぞらせて、酔いのせいで潤んだ瞳をきつく光らせて、あたしを斜めに見下ろした。

「つまみすらでてこないこんなシケた飲み屋があるかい。それに、これからバージンロードを歩こうって女が、タクアンくさい古女房みたいに、飲むな飲むなってガミガミいうもんじゃないよ。しおらしくしてないと、シャルル大閣下に捨てられるぜ。だいたいあたしはもう健康体だ。だからいくら飲んでも大丈夫さ」

そう言いながら、手をひらひらさせる薫に、あたしは呆れた。
まったくもう、口ばっかり達者なんだから……。
でも、わかるわ。
強がっているけれど、薫は不安で仕方がないのよ。
こうやって自分が留守をしている間に、兄上にもしも何かがあったらと思うと、こわくてたまらないんだわ。
だから、お酒を飲むことで不安を紛れさせてるんだわ、きっとそうだ。

「あんたはその後、体の方はどう?」

あたしが訊くと、薫はへらへらと笑いながらうなずいた。

「ああ。走っても転んでも大丈夫だ。この間なんか十時間耐久バイオリン練習をやったんだけど、まったく問題なしさ。あたしはまだまだやれたんだけど、楽器の方が根を上げちまって、ブチンブチンって、連続で全部の弦が切れたんだぜ。初めてだよ、こんなの」

一年前の秋、薫は、パリ市内の病院にて、世界初となる再生心臓移植術を受けたの。
執刀医は、和矢が頼んでくれた例の教授、心臓外科の世界的権威で、東京国際医科大学名誉教授である円城寺竹二医師。
もちろん使われた再生心臓は、シャルルが心血を注いで作ったあれよ。
人工心臓が外せない薫のために、円城寺教授ははるばる渡仏し、薫の手術と治療にあたってくれ、和矢は彼の弟子として、そのすべてに付き添った。
八時間にも及ぶ大手術は成功を収め、数年ぶりに意識覚醒を果たした薫は、移植後のショック症状を持ち前の精神力で克服し、一ヶ月後には集中治療室から一般病棟に移り、二ヶ月後には歩行訓練を開始、その数ヶ月後に晴れて退院した。
円城寺教授から、心臓は完璧だ、おそらくもう発作は起こらないだろうと告げられて、薫はうつむき、声を殺して泣いたという……。
薫は帰国を望んだ。
もちろん、昏睡状態が続いたままの兄上を連れてよ。
和矢がその手はずをシャルルに頼んできた。
日本で死刑を受けたことになっている兄上は、戸籍も何もないから、そのままだとフランス出国も日本入国もできないからよ。
シャルルはアルディ家の専用機で皆を日本まで移送するように手配し、無事に薫たちは日本に帰って行った。
現在兄上は、円城寺教授の大学病院に仮名で入院していて、バイオリンを再び弾き始めた薫と、医学部へとすすむべく教授のもとで学ぶ和矢が、交代で看病しているのだという。

一方のあたしは、三ヶ月前に出産した。
日本から駆け付けてきたあたしの母や、姉たちが祝ったり、面倒を見てくれたりして、あたしはのんびりとした中で、体調の回復につとめることができたの。
赤ちゃんの面倒もようやく慣れてきた。
そこで、妊娠中はつわりやら、お腹が目立つせいでウエディングドレスを着られないことを理由に先延ばしにしていた結婚式を、ようやく執りおこなうことにしたの。
ところが、アルディ家が代々結婚式を行っている、ランス・ノートルダム寺院は、厳然としたカトリック教会!!
主任司祭のトマス神父は、世間的にいうと、いわゆる「できちゃった婚」に見えるあたしたちの結婚式を扱うことを、なかなかゆるしてくれなかったのよっ!
最終的には「式をしないと教会をつぶすぞ」とシャルルが脅した。
その時のシャルルときたら、ものすごーく恐ろしくて、トマス神父はもちろん、そばで聞いているあたしも、全身が凍り付いてしまうほどだったの。
あんた、神様にたたられるわよっ!
とあたしはヒヤヒヤしたんだけど、シャルルはにやりと笑うばかり。
その笑いの悪魔的なことと言ったら。
純粋で敬虔なトマス神父は、もう見ているのもかわいそうなぐらいすっかりビビってしまって、今後教会には絶対に近づかないという条件付きで、結婚式を認めてくれたってわけなの。
わーんっ、イマイチ祝福されない門出だけど、これでいいのかしらねっ!?
でも、シャルルへの愛は確かよ。
それだけは約束するから許してね、アーメン!!


あたしはよく眠っている息子の頭を撫でながら、アルディ家の双子の話をした。
二人の出生、引き離れて育った半生、当主権をめぐる壮絶な争い、その後のシャルルの病気とミシェルの死。
でも、シャルルが薫の治療のために自分の治療を後回しにしたということと、あたしが今抱いている赤ちゃんの父親が、本当はミシェルだということだけは言わなかった。
その二つは、これからもけして言うつもりはない。
薫は椅子に戻り、広げた股の間で両手を重ねて、俯き加減になってあたしの話を聞いていた。

「アルディ家ってそんな刑務所みたいな島を持ってたんだ。すげぇな。それで、子供は自由に生きて欲しくて、世界中の誰からも呼ばれやすい名前ね、なるほど」

そう言いながら薫は立ち上がり、あたしの背中を、ポンポンとたたいた。
見上げると、深い茶色をしたそのまなざしは、とても優しくて、あたしを気遣ってくれていることが強く伝わってきた。

「兄上はどう?」

訊くと、薫はその瞳に、ふっと影をよぎらせた。

「変わらない」

わざと無表情を作る薫に、あたしは胸をつかれた。

「そう……。ごめんね、そばから離れたくなかっただろうに、来てもらっちゃって」
「なあに」

仮面を付け替えたようにおどけた顔に切り替えた薫が、こちらを見て、口角を持ち上げた。

「親友の晴れ舞台を欠席したんじゃ、兄貴にあたしが怒られちまう。それに兄貴だったら大丈夫だ。黒須がついていてくれるから。あ、そうだ。これ、預かってたんだ。黒須がおまえさんにってさ」

言いながら、薫はタキシードの胸元に手を突っ込んだ。
乱暴なしぐさで取り出したのは、一通の白い洋封筒だった。
あたしは片手で坊やを抱きながらその手紙を受け取った。
表書きには、和矢がよく使っていたブルーブラックのインクで、「シャルルとマリナへ」とだけ書かれている。
裏には、少しくせのある和矢の署名。

「かせよ、そいつ。手紙、読めないだろ? 抱いててやるよ」

薫が両手をぎこちなく差し出している。
息子を預かるといいたいらしい。
触れたくないものに近づいていますと言わんばかりに、顎をぐーっと引いている。
あたしは苦笑しながら、

「お願いするわ」

彼女にケンを預けてから、手紙を開いた。
白いラシャ紙の便箋に、横書きで、丁寧に書かれた字が並んでいた。

『結婚おめでとう。
祝いにいけなくてごめん。響谷の兄さんはわりと良い状態です。最近、呼びかけに反応があります。目覚めも近いんじゃないかと思います。
できればみんなで式に参列したかったけど、それはかなわなかったので、式の開始時刻になったら、兄さんと一緒に君たちの幸福を祈ります。
あと、これはお願い。
来年の春、母の七回忌で、パリに行く予定です。
いま付き合っている彼女と、二人でセーヌに花を捧げようと約束してます。
よかったら泊めてもらえるかな?
つもる話もしたいし、君たちに彼女を紹介したい。
無理がなかったら、ご検討をよろしく。
祝福に満ちたすばらしい結婚式でありますように、心から祈りつつ。黒須和矢』

読み終えて、あたしはほうっと息をついた。
そう、和矢に彼女が。
幸せにやってるのね……よかった。
もう一度、二枚にわたる手紙を読み返しながら、あたしの胸には、青いレモンをぎゅっと絞って、その果汁をごくんと飲んだ時のような感慨がこみあげていた。

「黒須の彼女ってさ、兄さんの担当看護師でさ。大学出たばっかりの子。ほっぺがリンゴみたいで、あたしはからかってりんごちゃんって呼んでる。看護師のくせにすごく不器用で、点滴の針刺すときとか異常な緊張感を醸し出すんだ。見てるこっちがドキドキしちまうぐらい。噂では、交際を申し込んだのは黒須らしい。三ヶ月ほど前だったな。りんごちゃんの様子が一変したから、見ててすぐにわかったよ」

薫の説明を聞いて、あたしは驚いた。
へえ、和矢から交際を申し込んだの?
……ちょっと意外。
あたしの反応を注意深く見ながら、薫は坊やをぎこちなく抱いたまま椅子に腰を下ろした。

「よく事情はわからないけど、黒須はおまえさんに振られたんだろう?」

ぎくっ!

「なのに、どうしてりんごちゃんと付き合うんだろうって、不審に思ったんだ。もしかしてりんごちゃんは、マリナを忘れるための道具なんだろうかって」

そんな……まさか!!
和矢はそんな人じゃないわ。
あたしが否定しようとすると、それよりも先に、薫がたたみかけるようして言ったのだった。

「でも黒須を見ていてわかった。あいつは、ちゃんとりんごちゃんのこと思ってる。黒須はいい加減に人と向き合うようなやつじゃない。
多分、黒須はマリナのことを精いっぱい愛しぬいたんだ。だから、前へと進むことができるんだ。これは簡単なようで、なかなかできることじゃない。自分のつらさに閉じこもらず、恨んだりひねくれたりせず、どんな時も太陽の下で笑うあいつを、あたしは尊敬する」

静かに、でも情熱をこめて語る薫の瞳からは、真剣さが溢れて出ていて、あたしの胸を打ったの。
そのとおりだ。
和矢はあたしに最高の愛を示してくれた。
だからあたしはシャルルの元へ行けたんだし、その後いろいろと大変なことがあったけれど、今こうして、結婚式という晴れの日を迎えることができた。
すべては和矢のおかげだわ。
あたしは改めて感謝をしながら、手紙を封筒に戻した。
ありがとう、和矢。
来年、待ってるわ。
りんごちゃんと一緒に来てね、楽しみにしてるわ!!

その時、遠くから赤ちゃんの泣く声が聞こえてきて、それはまたたく間に近づいてきて、同時に走る足音も聞こえた。
コンコンと慌ただしくノックする音が響いて、応じる暇もなくドアが開いた。
入ってきたのは、いつになく厚めの化粧をしたジルだった。

「マリナさん、すみません、お乳をあげてもらっていいですか? カイったら、泣き止まなくて」

やれやれ、やっぱり。
任せてって言ってたけど、もたないと思ったのよ。
あーあー、あんなにほっぺを真っ赤にしちゃって。
あたしは嘆息しながら、困り顔のジルから、目の中にいっぱいの涙をためてひっくひっくと泣く坊やを受け取って、壁に向いてお乳を含ませた。
とたん、背後からケンを抱いた薫の叫びがっ。

「おいっ、双子だったのか!? しかも一卵性!?」

あたしは首だけ振り返って、うなずいた。

「ケンとカイ。あたしとシャルルの愛する息子たちよ。よろしくね」








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