《ご注意》シャルマリ2次創作。大人向け。流血シーンあり。苦手な方は閲覧を自己規制してください。
第二十九話
南アフリカから帰国して一週間後、マルグリット島の売却交渉の日を迎えた。売却を申し出てきたのは、アメリカ系デカコーン企業で、パリ市内のホテルで交渉は行われることになった。わがアルディからはルパートが代表として出向くことになった。
「落とし所は分かっているな」
とオレはいった。
「無論」
ルパートは書類をカバンに入れて頷く。「君の構想がうまくいくように、だろう?」
「そうだ」
オレは、マルグリットを売却した金を分家に与えて、家訓の改定を承認させる予定でいる。地道な説得で協力者の確保に努めてはきたが、やはり最後にものをいうのは金だ。特に、今は皆が苦しい状況に置かれている。百の言葉よりも一フランの方が有効だろう。実際問題として、マルグリット島など、分家の連中にとって関係ないのだから。
「ではいってくる」
ニヒルな微笑を浮かべてルパートは書類を手にでていった。
待っている間、オレは家族のサロンにいった。シャルロットはソファに座って、サミュエルのハンケチの刺繍をしていた。
「子供達はどうした?」
聞くと、シャルロットは顔をあげ、微笑みながら、その顔を庭に向けた。なるほど、庭ではジルと一緒にサミュエルとエロイーズがボール遊びを遊していた。最近サミュエルが気に入っているヘリウムガスの入った空中に浮かぶボールだ。エロイーズは姉らしく、弟のところにボールが必ず届くように、あっちにこっちにと飛び回ってボールを追いかけている。
今日はよく晴れていて、気温も高い。エロイーズはノースリーブのワンピースを着ているが、額には玉のような汗が浮いていた。ツインテールにしている白金髪も、汗でしっとりとしている。
オレはベランダに出て子供達に声をかけた。
「あっ、パパ!」
エロイーズがすぐに駆け寄ってきた。
「ハハハ、楽しそうだな」
「うん、とても楽しい。ねえ、パパ。サミュエルはボールを受け取るのが上手になったでしょう?」
オレは娘の頭に手を置いて、こういった。
「そうだね。でも、君がきちんとボールを投げてあげるからだよ。優しい姉だからだ」
エロイーズは嬉しそうにはにかんだ。ジルがサミュエルの手を引いてやってきた。
「パパ、たった」とサミュエルが手を出してきた。オレはしゃがんで彼の手をとった。
「頑張れ、サミュエル。上手くなれよ」
「はい」
と素直に頷くサミュエル。オレは彼の頭にも手を置いて祝福の気持ちを伝えた。ジルは「さあ、行きましょう」といって、二人をまた庭の広いところに連れて戻った。それを見送ったオレはシャルロットのそばに歩みよりながらいった。
「暑いのに、子供達は元気だな」
「そうね。最近、よく食べるから」
と、シャルロットは針を動かつつ答える。
「エロイーズか?」
「サミュエルもよ。昨日はワイン煮込みをお代わりしたわ」
「へえ。それは驚いたね」
「いつまでもサミュエルは弱い子じゃないわ」
シャルロットのそのいい方がオレは妙に気になった。向かい側に座り、シャルロットの顔をつぶさに見る。
「どうした、シャルロット。何かあったのか?」
「ううん。別に何もないわよ。どうして?」
「いや、ならいいんだけど、君の調子はどうだ?」
南アフリカから戻ってきて以来、親族会議の準備で忙しく、あまり妻と話していなかった。子供達の世話も任せきりにしていた。少し顔色が悪いか? 彼女はつわりが軽い方だが、毎回違うこともあるし、今回はきついのかもしれない。
シャルロットは「大丈夫よ。元気」と微笑みを絶やさない。だが、やはり元気がないような気がした。
「薔薇を飾らせようか? 好きだろう?」
「ううん。いらないわ」
これも珍しい。シャルロットは薔薇が好きで、アルディ家の紋章が薔薇であることをとても喜んでいた。庭の薔薇を愛でることと、部屋に薔薇を飾ることは、彼女の趣味だった。
「そうか?」オレは不審な思いで妻を見た。妻は一心に針を動かしていた。
「大丈夫だったら」
と強調されれば、それ以上何もいえない。
「わかった。何かあったらすぐにいえよ」
「ありがとう」
シャルロットは顔を上げて、オレを見てニコッと笑った。よく見ると、彼女はハンケチに蛇の刺繍を縫いこんでいた。蛇? コンデ家の家紋をなぜ?
ルパートは二時間後に戻ってきた。カバンを持った彼は、泰然とした足取りでオレの執務室に現れた。
「売却成立だ」
よし!
「――と、いいたいが、残念ながら契約は無しだ」
え?
眉を寄せるオレの前で、ルパートはカバンから契約書類を取り出した。それは白紙のままだった。彼はそれを両手に持ち、真っ二つに引き裂いてしまったのだった。
唖然とするオレ。
「アルディに二度を近寄るなといっておいた」
ルパートは破れた契約書を放ると、指先をチッと鳴らした。ノックもなく扉が乱暴に開き、物々しい音を立てて背広姿の男達が三人入ってきた。手には黒光りする銃。その銃口はまっすぐにオレに向けられた。
「シャルル、たった今から、君の身柄を拘束する」
ルパートの声とともに、銃を持った男達のうち、二人がオレの元にやってきて、オレを後ろ手に拘束した。残りの一人は、ルパートのそば近くから、オレに銃を向けたままだ。
「どういうことだ?」
尋ねると、ルパートは傲岸な顔で答えた。サックスブルーの瞳は、水色のプラスチックをはめ込んだように動きもしない。
「簡単なクエスチョンだ。君の為した行為はアルディに対する重大な背信だ。よって、裁かればなければならない。君はこれより当主資格喪失者と呼ばれる」
「だが、その家訓は改定する。そのことは君も了承済みだろう?」
「私が了承したのは、モザンビークの地雷撤去支援に対する一千万フランの拠出に関する議案だけだ。その他の件に関してウイといった覚えはない」
オレは目を剥いた。
「卑怯だぞ」
「アルディを捨て、自分のやりたいことだけをやろうとした君の方がよほど卑怯だとは思わないのか? 実に男らしくなく不愉快な提案だった。強いアルディを求めて何が悪い? 強者だけが力なのだ。しかし、君はあえて弱者になろうとした。そんな君に従うぐらいなら、アルディに忠誠を誓った過去の挑戦者の方がアルディのためになると判断した」
「過去の挑戦者だと?」
「そうだ」
ルパートはもう一度、今度は指を鳴らすのではなく、「入りたまえ」と言葉で入室を促した。すると入ってきたのは、セントヘレナ島に幽閉したはずのミシェルだった。
たった一人の弟。
なぜここに?――
「久しぶりだね、シャルル」
捕縛されたオレを見て、あざ笑うかのように片口をミシェルは歪めた。最後に会った時とほぼ変わらず、腐った精神がそのまま現れている顔だった。
「なぜ、君がここに?」
「それはもちろん、ルパートが密かに呼び戻してくれたんだよ。ルパートはね、オレとシャルルを交換するつもりなんだよ。つまり、オレにシャルルのふりをしてこの先、当主として励めっていうわけ。シャルルのふりをするなんて屈辱だけど、オレはその条件を飲むことにした。だって、そうしないとあの島から出て行けないし、代わりに君が島に閉じ込められるっていうじゃない? それはとても楽しいことだからね」
といいながら、ミシェルはオレの顎を指先でつまんで、鳥のような声で笑った。オレは顔を振ってミシェルの指を払いのけ、拘束を外そうと暴れた。だが、二人掛かりで取り押さえられていては、全く歯が立たなかった。
そんなオレを見て、ミシェルは楽しそうに笑い続ける。
「無理無理、諦めなよ。それか、ここで殺される? それでもいいってルパートはいってるよ。オレがセントヘレナ島で死んだことにすればいいからって」
オレはルパートの顔を見て、冷たいその目になんの感情のこもってないことを見定め、己の顔から血の気が引いていくのを感じたのだった。
失策をした、とようやく気付いた。
だが、ここで諦めるわけにはいかない。オレには家族がいる。
彼女達をどうにかして、守らなければならない。
ミシェルはオレの椅子に座って、くるくると椅子を回して遊び始めた。ルパートはそばの男から銃を受け取り、それをオレに向けた。
「毎度の質問でお互いに懲り懲りだが、本家のホストコンピュータのロックを解除してもらおうか」
オレは苦笑した。
「本当に毎度だな。オレが素直に教えると思うか。なんのために、五分おきにロックがかかるように設定したと思っている? 前回の轍を踏まないようにするためだ」
「まあ、そうだろうな。素直に教えてくれないだろうと思っていた」
「だったら、無駄な質問はやめろ」
「無駄かどうかは、これを見てから決めてもらおう」
ルパートはそばの男に目配せをした。男はすぐに出て行った。二、三分後、男が連れてきたのは、後ろ手に捕らえられ、口を手で塞がれた、グレーのスーツ姿のジルだった。
ルパートはジルに銃を向けた。
「さて、君は、部下を守る上司かな?」
茶化すようにいわれて、オレは不快な気持ちになりつつも、ひどい胸騒ぎがした。ジルを見殺しにはできない。それは確かなのだが……
なぜ、ジルなのだ?
「――んっ! ――んん!」
ジルは暴れながら、必死に何かを訴えていた。自分を構うなといっているのか、それとも他のことか。彼女と視線を合わせると、その目は涙ぐんでいた。
オレは全身から力を抜いていった。
「わかったよ」
ミシェルは尖った顎を突き出して、鼻で笑った。
「いい判断だ。では解除を命じてもらおうか」
とルパートは銃口を向けたままいった。
「馬鹿かい、君は。前回と同じ音声認証なんか使ってないよ。虹彩認証に変更してある。デスクに座らせてくれ。そうしたらすぐに解除できる」
オレの言葉に、ルパートはわずかに怒りを見せたが、直ちに、
「いいだろう、彼をデスクに」
と、オレをデスクに連行するよう部下に命じた。オレは素直にパソコンとにらめっこして虹彩認証を解除した。ミシェルがその確認にやってきて、オレを拘束していた男達がわずかだけ体を揺らした。その瞬間、オレは後ろの男に肘鉄を食らわせ、反対側にいた男を殴り飛ばしたあと、ドアをめがけて走った。途端、銃声とともに、肩に激痛が走った。撃たれた! だけど、止まっていられない! オレは肩を手で押さえて走り続けた。もう一発銃声がして、廊下を曲がってそれをすんでのところで避け、オレは家族の部屋まで走り続けた。使用人の姿が見えない。ちくしょう。こういう展開になることを見越して、オレが執務室に入っているすきに、ルパートが手を回していたに違いない!
すぐにいつも家族で使っているサロンが見えてきた。オレは体全体でぶつかるようにしてドアを開けた。
「シャルロット! ここは危険だ、すぐにでよう!」
瞬間、目に飛び込んできたのは、誰もいない光景。エロイーズお気に入りのクッションも、サミュエルのベビーベッドも、シャルロットの大好きなティーセットもそのままあるのに、誰もいなかった。刺繍の道具はない。じゃあ、寝室か? 窓の外が、目が痛いほど眩しい。庭には夏の薔薇が色とりどりに咲き誇っていた。
オレは肩を抑えながら部屋を歩き回って、叫んだ。
「おい、シャルロット! エロイーズ! サミュエル!」
隣の寝室、逆隣のエロイーズの部屋を見て回っても誰もいない。部屋はそのままだ。エロイーズのピンクのコレクションもすべて彼女が飾った通りの場所にあった。
「どこにいったんだ……? ――ん、ぐっ!」
突然、右太ももの裏に熱い痛みが突き刺さった。それが銃声を伴っていたと気付いたのは、じゅうたんの床に倒れ伏した後だった。這いつくばりながら顔をもたげると、磨き上げられた革靴があり、さらに視線を上げると、冷ややかな眼差しでオレを見下ろすルパートがいた。
ミシェルがその横にいて、笑いながらいった。
「君の奥方なら、子供達を連れてコンデ公爵家に戻ったよ」
「!?」
「シャルロットは、相談もせず勝手にモザンビークに永住を決めた君に愛想をつかして、ルパートに離婚を相談してきたんだよ。わがままな君にこれまで我慢してきたけど、もう我慢できない。貴族を捨てるってことも許せなかったみたい。偽造のDNA鑑定書まで出してきて、子供達がシャルルの子供じゃないということにしてもいいから今すぐに離婚させてくれと頼んできたんだってさ」
「なんだ、と……」
「そもそもその鑑定書は君が作ったんだって? 偽造とは思えないぐらい立派な鑑定書だったから、ルパートはそれを使って、君たちの離婚手続きを取ったのさ」
ミシェルはルパートに視線を送った。
「将来に禍根を残さないため、必要なことだと判断した。シャルル、きみの子はアルディにいてはならない」
とルパートはいった。「心配は無用だ。コンデ公爵は喜んで娘と孫を迎えるそうだ。次期コンデ公爵としてな」
次期コンデ公爵!?
コンデ公爵家には、後妻が産んだ息子がいたはず……まさか、シャルロットは、コンデ家でもあの、偽造のDNA鑑定書を使ったのか!?
「オレとしては助かったよ。シャルルのお古の妻なんて冗談じゃないし」
というと、ミシェルはしゃがみこみ、すくい上げるようにしてオレの顔を覗き込んだ。白金色の髪が絨毯につくのも彼は構わないようだった。
「ねえ、シャルル、一つ聞いていい? なぜ急に当主を降りようなんて思ったんだい? そんな気さえ起こさず、おとなしくやっていれば、こんな目に遭わなかったのに。かわいい奥方と子供達、地位、名誉、財産、部下や使用人からも信頼されて。それ以上、君は何が欲しかったのさ?」
全身を走る戦慄にオレは目を閉じた。笑いがなぜかこみ上げる。
「お前には生涯わからないよ」
ミシェルは鼻で笑った。
「ああ、そう」
それからミシェルが立ち上がる気配がして、直後にオレの顔に生あたたかいものが放たれた。ミシェルが唾棄したのだ、と直感で悟った。オレは、そうさ、誰にもわからない、と口の中でつぶやいた。
ルパートは「これから連行する。君はすぐにオート・エコールにいってシャルルとして振る舞え」といった。
「突然で、バレないかな」とミシェルは思案げな声で答えた。大丈夫だ、とルパートが返す。
「シャルルは最近オート・エコールに全くいっていない。しばらくぶりだという顔をしていれば、多少の違和感を覚えたとしても、向こうの職員たちの方で、勝手に記憶を修正してくれる」
「なるほど、人間の記憶なんて曖昧だからね」
「さすがに本家の使用人だけはそうはいかないから、執事以下、全員入れ換える」
「親族会議の連中が騒がない? 建前はなんというの?」
「シャルロットとの離婚に伴うシステム刷新とでもいっておくさ。次の親族会議は一ヶ月後だから……」
などといった具合に続く二人の会話を聞きながら、オレは「オレの気持ちなど誰にも理解できない」と口中で繰り返していた。なぜなら、オレ自身にすら、なぜこうなったのか全くわからないでいるからだ。
オレは家族のために、モザンビークで穏やかに暮らしたいと思っただけだ。今までシャルロットには辛い思いをさせてきた。だから、これからの人生は彼女の側で生きていこうと思った。モザンビークに病院を建てようと思ったのも、かの地の人々のためという一義的な理由ではなく、そうしたら家族といつも一緒に居られると考えたからである。それなのになぜ、こんなことになる?
なあ、シャルロット。
あんなに愛しているといってくれた君の言葉は、毎日両手でオレのほおを挟んで啄んでくれた唇は、星のように瞬いて見つめてくれた眼差しは、すべて嘘だったのか。オレがアルディ当主であったから愛したふりをしただけだったのか。
もし、そうだとしてもだ。
アルディを捨てるといったオレを許せないと思ったにしろ、エロイーズやサミュエルも、腹にはこれから生まれようとしている子もいるのに、どうしてこんなことができたのか?……と思ったその時、以前和矢が、
『子供のためだけに夫婦として生きることは幸せではない』
といった言葉を思い出した。
まさしくその通り、シャルロットにも、彼女自身の幸せのカタチがあったのだ。それを彼女は、これまで無理やりオレに合わせてくれていたのだ、ということに気づいた。
オレは後悔に満たされた。目を閉じた世界は暗黒に包まれて、無機的で、それはマリナと出会う前よりもなお一層暗く、底がないほど冷たく、世界中のすべての人々に捨て去られたような孤独があった。
「連れて行け」
ルパートの命令で、オレは両腕を抱えられ、無理やり立たされた。歩くたびに太ももから血が滴るのがわかるが、屈辱が激しくて、痛みなど感じない。出血量が多くなって、徐々に意識が掠れていくのが自分でよくわかる。舌を噛んで遠のく意識を懸命につなぎとめていたが、やがてそれも限界を迎え、かくてオレはもう少しで玄関というところで気を失った。
目覚めるとオレはベッドの上で、頭を揺する不規則な振動を感じた。船に乗っている、とすぐにわかった。体にはどこも痛みを感じなかった。おそらく麻酔を使われているのだろう。手足も、指先一つすら動かせず、オレは枕に突っ伏すように横たわったまま、瞼を瞬いた。そのうちに視界がはっきりしてきた。そこはホテルの一室のような部屋で、まずオレの視界の正面に背広を着た一人の男、これはオレを襲ったあの時の男。視線を下に移すと、あと二人の男が見えた。彼らに囲まれるようにして、椅子に座るジルの姿もあった。
その旅は、果てしなく長かった。麻酔が切れる間もなく、男たちのうちの一人がオレの腕を取り上げて、注射を打った。それでオレはまた意識を手放した。押し殺したジルの呼吸音だけが荒くなるのが、最後に聞こえた。
そんなことが何度繰り返されたのだろうか。一度目覚めたそれっきり、あとは覚醒していないので、わからない。
オレが明瞭な意識を取り戻した時には、白漆喰の天井が見えた。それから、泣き腫らしたジルの顔が。
「シャルル、よかった……」
彼女はそういうと、オレのベッドにすがりついて、静かにすすり泣いた。オレはまだ体の自由が効かなかった。目だけで周囲を確認すると、部屋の中には誰もいないようだった。船で確認した男たちの姿もない。オレの寝ているベッドと大小二台のチェストが入って多少のゆとりがある程度の狭い部屋。白い壁。その下には鮮やかなグリーンの腰壁があり、家具は全てアンティーク調の濃いブラウン。少し湿度の高い、潮の香り。風を感じるのは窓が開いているからか。左の方角に日差しを感じるが、ついたてがあり、窓は直接見えなかった。
「ここはどこだ?」
とオレが尋ねると、
「南大西洋に浮かぶ絶海の孤島、セントヘレナ島です!」
まるで、魔法使いにさらわれたお姫様のような顔をして、ジルは嗚咽しながら答えた。
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