ディア・フレンズ 続編
ディア・フレンズ 続編成田空港の到着ロビーはちょっとした騒ぎになっていた。 「なに、これ? 芸能人でも来日してるの⁈」と思いあたりを見回したんだけど、そういう時にはかならずあるはずの出迎え用プラカードとか、キンキラキンに飾り立てた団扇とかゴージャスな花束などは見当たず、ただスーツケースを持った人もそれを出迎えに来た人もそこらにいる人がこぞって騒いでいる、と有様だった。...
View Articleディア・フレンズ 逃亡編
ディア・フレンズ 逃亡編 特急券は、車内で購入した。 トンネルを出た途端、田舎を感じさせる田園風景が目に飛び込んだ。 刈り入れが終わった後の田にタネを蒔いているようで、腰を曲げて作業する人影が流れるように過ぎていく。 「やっぱり速いなぁ。この電車」 あたしのひとり言を聞きつけたらしく、となりのおっちゃんが、にやっとして覗き込んできた。...
View Articleディア・フレンズ 完結編
ディア・フレンズ 完結編 11時51分。 小菅駅に到着したあたしは、拘置所まで走った。 ところが、ところがぁ‼ 小菅拘置所の前には、成田空港で見たままの濃紺のスーツ姿のシャルルが仁王立ちをして立っていたの‼ 遠くから、背の高い警備員がいるなとは、あたしも気づいていたのよ。 でもまさかシャルルだと思わなかった。 だっておっちゃんが、絶対先回りできないって言ったから。...
View Article瞳をとじて 前編
瞳をとじて 前編 19XX年4月X日午後7時 パリ19区、市警支部 「おや、カーク、今夜はもう終わりかい?」 「そうなんですよ。今日は犯罪ゼロ。坂の上老女殺人事件は昨日解決したし、かっぱらいもスリもなくて、すげー平和な日だったんで、久々の定時上がりです」 署の前を警備するベテラン制服警官アルニーはニヤリと笑って、右手で飲む仕草をした。 「これから、これかい?」...
View Article瞳をとじて 中編
瞳をとじて 中編 他人の恋愛感情を察する能力は持っていない。 でも、バスタオルを抱きしめて眠るシャルルはわかりやすかった。 午前10時。 朝食の準備をしていると、シャルルも起きたようだった。洗面所にもいかず、気だるげにソファで寝返りを打っている。 芳しい香りを立ててカフェを淹れた。 「マリナと連絡とってる?」 スクランブルエッグとグリーンサラダ、ハニートーストとネルドリップのカフェ。...
View Article瞳をとじて 後編
瞳をとじて 後編 帰宅すると、部屋は朝出た時のままだった。 ダンボールの上にはケチャップがついた皿。 わずか飲み残しのあるマグ。 午後の明るい日差しの中で、シャルルはソファに寝転んでいた。シャワーを浴びた形跡はない。部屋の空気は暖かく、少し淀んでいた。 「ただいま」 声をかけたが、返事はなし。 起きてるのだろうか? 相変わらず息をしているのかどうかすらわからないほど、背中はピクリともしない。...
View Article愛するローマ幻想曲 20
《ご注意》第一話の注意書きを必ずお目通しの上、ご了承いただける方のみこの先お読みください。「マリナ!」聞き覚えのある声に振り返ると、そこにいたのは、生成りのトゥニカにくたびれた革のサンダル姿という、すっかりローマ市民の装いが板についたカミルスだったの!「あんた、今までどこにいたのよ!?」と、怒鳴るように尋ねたあたしの肩をカミルスは両手でガシっとつかみ、乱暴に自分へと引き寄せて、意外とたくましい胸板に...
View Article愛するローマ幻想曲 最終回
《ご注意》第一話の注意書きを必ずお目通しの上、ご了承いただける方のみこの先お読みください。11、かくてマリナの現状はふぅっと気がつくと、とっても寒い。ぼうっとして起き上がると、そこは確かに日本の小菅だった。間違いないわ、あの特徴的な拘置所の建物は間違いたくても間違えられない!あたしが呆然としてあたりを見回すと、直後、すぐに拘置所に入った方がいいんじゃないかと思うほど冷酷な流し目でこちらを見るルパート...
View Article新妻に愛は舞い降りて
新妻に愛は舞い降りて『そうですね。必要なものは愛する相手を理解すること。若い時というものはみんな自分を理解してもらうことばかりに夢中になりますからね。それは大いに反省すべきところですね。アルディ家当主秘書ジル・ド・ラ・ロシェルは語るある寒い夜の暖炉のそばで、小さな双子の兄弟に。』「マリナはどこに行った!?」...
View Articleディア・フレンズ
ディア・フレンズ シャルルに会いたい。 そう思って、和矢と別れた。 突然の申し出だったけれど、和矢はちょっと驚いた顔をしただけで、優しく受け入れてくれた。「そっか。お前の気持ちが通じるといいな」 なんて優しい人なの! あたしだったら、他の人を好きになったなんて言われたら、頭からガリガリ食べちゃって、ごっくんとのみこんじまうわっ!...
View Article愛いっぱいの仲間たち
【愛いっぱいのミステリー、途中のお話】それは甲府の弾上家。美女丸のお父さんや妹の美也ちゃん、従兄弟の三人を殺した残虐な犯人は死んでしまい、ほっとした翌日の午前中のことだったの。トイレから帰る途中のあたしは、血桜堀に面した長い廊下で、しゃがみこんでいる和矢に、出くわしたのだった。はて?「和矢、あんた、何してるの?」和矢の肩越しに見ると、和矢はバケツで雑巾を絞っているところだったの。キュって固く。なにや...
View Article最後の更新
こんにちは、えりさべつです。 6年弱親しんできたヤフブロですが、この記事をもって最後の更新とさせていただきます。これまでご訪問してくださり、本当にありがとうございました!シャルマリが大好きな思いっきり偏ったキチガイブログでしたが、当初の予想よりも沢山の方が訪問してくださいました。お気に入り登録者数 755名訪問者数 302,026名コメント総数...
View Article新妻に愛は舞い降りて
新妻に愛は舞い降りて『そうですね。必要なものは愛する相手を理解すること。若い時というものはみんな自分を理解してもらうことばかりに夢中になりますからね。それは大いに反省すべきところですね。アルディ家当主秘書ジル・ド・ラ・ロシェルは語るある寒い夜の暖炉のそばで、小さな双子の兄弟に。』「マリナはどこに行った!?」...
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