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Channel: りんごの木の下で
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愛に濡れた黙示録 5

《ご注意》第一話の注意事項をご確認の上、ご了承いただける方のみ閲覧ください。とにかく部屋を探そう。マリナは水で顔を洗って、身支度を整えた。すでに外は真っ暗だ。飯田橋の駅前まで行けば、不動産屋があいているだろう。事情を話して、すぐに入居できる格安の物件を世話してもらうしかない。飯田橋がダメなら、水道橋でもこのさいどこでもいい。直ちに引っ越せるところを見つけるんだ。そうしないと、明日からホームレスだ。強...

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「シャルル」という華麗なる男

2015年夏~秋頃。ブログトップページ「ひとことメッセ」で毎日更新していた『今日のシャルル』です。覚えておられる方、いないかな?シャルルBDを前に、まとめてみました。合計40個...

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愛に濡れた黙示録 6

《ご注意》第一話の注意事項をご確認の上、ご了承いただける方のみ閲覧ください。マリナが和矢の腕の中でうとうとしていると、電話の音がなった。無視しよう。と思ったけれど、電話はひたすらなり続ける。マリナの電話は黒電話だ。無料でレンタルできたからだ。けれど、沢山の欠点もあった。まず第一に、留守番機能がないこと。口約束だけが商売のマンガ家という仕事の自分にとって、これは少々問題点だった。第二に、急いで発信した...

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愛に濡れた黙示録 7

《ご注意》第一話の注意事項をご確認の上、ご了承いただける方のみ閲覧ください。「ふー。おなかいっぱい!」マリナは湯のみを手に取った。...

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愛に濡れた黙示録 8

《ご注意》第一話の注意事項をご確認の上、ご了承いただける方のみ閲覧ください。4「おはよう、兄上っ!」マリナは扉を元気よく開けた。大きな窓から降り注ぐ光が、きらきらと目に飛び込んできた。「今日はとてもいい天気よ、日光浴でもしないっ!?」返事はない。マリナはひとつためいきをついてから、入ってきたばかりの扉をパタンと後ろ手に閉めた。今朝も薫の部屋は変わりがない。相変わらず床には楽譜が散乱しているし、おすま...

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愛に濡れた黙示録 9

《ご注意》第一話の注意事項をご確認の上、ご了承いただける方のみ閲覧ください。夕方になって、家の中には、香ばしいかおりがただよっていた。「チキン、できた?」マリナがキッチンに行くと、花柄のエプロンをつけた及川がマリナを振り返った。耐熱ミトンでオーブンからこんがりと焼き上がったチキンをちょうど取り出したところだった。「ええ、できましたよ。あとは飾り付けるだけです」「うわあ。おいしそう!」「もちろんおいし...

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愛に濡れた黙示録 10

《ご注意》第一話の注意事項をご確認の上、ご了承いただける方のみ閲覧ください。クリスマスパーティの準備が始まった。会場は薫の部屋だ。薫と和矢が大きな丸テーブルを運び込み、その上に、及川がチキンを中心にごちそうを色とりどりに並べた。兄上は静かに眠っている。マリナは薫に言われて、クリスマスツリーを飾った。二メートル近い大型のものだ。真っ暗な窓の前に置かれたツリーに、カラフルな玉飾りやら綿やらベルやらを、脚...

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【薫BD創作】ありのままで 序章 

《ご注意》設定:パラドクス後、シャルルはマリナと恋人に。シャルルの治療の下、先に目覚めた薫が、兄上の覚醒を心待ちにしてアルディ家で過ごしている。そんな彼女をアルディ家で見かけたカークが取る行動は・・・? という設定です。2014年カークBD創作「君にひとやすみをどうぞ 序章」のカークsideですが、そちらを未読でもぜんぜん大丈夫です☆前回同様、「序章」とありますが、連載ものではありません^...

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愛に濡れた黙示録 11

《ご注意》第一話の注意事項をご確認の上、ご了承いただける方のみ閲覧ください。和矢は何度もキスを繰り返してから、「マリナ、オレ……」思い切ったように顔を上げた。「この家で役に立ちたい。ただの居候じゃなくて、存在価値のある人間でいたい。それを確認できるまで、この家ではもうおまえに近づかない。でないと響谷にも巽さんにも顔向けできないから」一方的にそう言うと、和矢は勢いよくマリナを離し、廊下を駆けて行った。...

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愛に濡れた黙示録 12

《ご注意》第一話の注意事項をご確認の上、ご了承いただける方のみ閲覧ください。「はぁ~、つかれた」日が落ちた頃、薫が帰ってきた。「おかえりなさい!...

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愛に濡れた黙示録 13

《ご注意》第一話の注意事項をご確認の上、ご了承いただける方のみ閲覧ください。和矢が響谷家に来て、はじめて彼の部屋に入る。樫の木でできたデスクとベッドとチェスト。もともと響谷家にあったであろうと思われるこれらの家具とミニキッチン以外は、デスクの上に無造作に積まれた数冊の本があるだけの、きわめて簡素な部屋だった。「突然どうしたんだ?」マリナは和矢のベッドに腰掛けた。「ちょっと話したいことがあって」「……...

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愛に濡れた黙示録 14

《ご注意》第一話の注意事項をご確認の上、ご了承いただける方のみ閲覧ください。「行っていいよ」びっくりして振り向くと、ふたつの黒い瞳がマリナをじっと見つめていた。「僕は大丈夫だから。行っておいで」昏睡状態のはずの兄上だ。「なんで…っ、どうして……!?」彼はフフ、と小さく笑った。「驚かせたね。すまない」マリナは目を見張った。この笑顔。この家での初対面。「失礼、お嬢さん」とささやかれたときもこんな笑顔だっ...

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愛に濡れた黙示録 15

《ご注意》第一話の注意事項をご確認の上、ご了承いただける方のみ閲覧ください。結局、出版社には行かなかった。惜しいとは思う。チャンスの神様は前髪しかないと聞く。もう二度とチャンスは掴めないのかもしれない。けれどマリナは兄上の寝ている部屋を出ると、そのまま自室に戻り、電話の子機を取り上げて暗記してある番号を押した。「編集部の松井さんをお願いします」電話口に出た彼にマリナは謝った。心はすでにマンガから離れ...

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愛に濡れた黙示録 16

《ご注意》第一話の注意事項をご確認の上、ご了承いただける方のみ閲覧ください。■兄妹、ちょっとハードな内容です。最終的にはハッピィエンドにしたいと思ってますが、途中ちょっとでも「ツラいのやだ!」という方は、自己防衛お願いいたします。「兄上は目が覚めてるのよ、本当はずっと前から!!」薫の足が止まった。マリナが強く頷くと、薫は階段の前に立つマリナを突き飛ばす勢いでそこを駆け上がっていった。「まって!...

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愛に濡れた黙示録 17

《ご注意》第一話の注意事項をご確認の上、ご了承いただける方のみ閲覧ください。7マリナは成田空港を走っていた。「シャルルを連れてくるからって言っといて!」廊下で何度も和矢を殴る薫を見て、マリナは急いで自室にもどると、愛用のポシェットに財布をつっこんで部屋を飛び出した。階段を駆け下り、一階で立ち尽くしていた及川にその一言だけ残して、響谷家を出た。あとはひたすら走って電車に乗って、成田空港まで来た。パリに...

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愛に濡れた黙示録 18

《ご注意》第一話の注意事項をご確認の上、ご了承いただける方のみ閲覧ください。「ほんとにあんたシャルル……?」「ああ」シャルルは身を起こした。顎から鼻、額にかかる線まですべてが美しい。人間とは思えないような透明な肌の色、宝石のような瞳、ゆるく着こなした黒いコートまで含めて何もかもが完璧だと思った。ほとんど白に近い金髪が肩から落ちる。「で、君は一体何をしてるの?」マリナはようやく我に返り、自分がしようと...

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愛に濡れた黙示録 19

《ご注意》第一話の注意事項をご確認の上、ご了承いただける方のみ閲覧ください。■兄妹ファンの方にとっては引き続きハード展開です。物語としてはハッピィエンドが最終目標ですが、それまではくれぐれも自己防衛をお願いします。8リムジンが響谷家に到着したのは、午前零時を過ぎた頃だった。森のような暗がりの中に、門灯だけがぼんやりと浮かび上がっていた。車寄せについた車から急いで降りようとする気配のないシャルルを強い...

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愛に濡れた黙示録 20

《ご注意》第一話の注意事項をご確認の上、ご了承いただける方のみ閲覧ください。暖かい空気もいっしょに出て行った気がした。「律儀なヤツだ、やっぱり気にしているのか」シャルルはため息をつきながら、もう一度胸ポケットに手を伸ばした。再びケースを取り出して、注射器とアンプルを手に先ほどと同じ動作をしたあと、別ポケットからアルコール綿を取り出し、それで兄上のひじの内側をこすり注射器を当てた。その様子をぼんやり見...

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愛に濡れた黙示録 21

《ご注意》第一話の注意事項をご確認の上、ご了承いただける方のみ閲覧ください。それだけ言うとマリナはくるりと彼に背中を向けて、部屋を飛び出した。兄上の返事はいらなかった。薫のために―――。この条件で彼は決して拒否できない。前もそうだった。死刑の前日、プロポーズを頼んだことを思い出した。もしかして一番むごいのはあたしかもしれない。マリナは階段を下りながら、はじめてそう思った。9玄関ドアを開けると、そこに...

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愛に濡れた黙示録 22

《ご注意》第一話の注意事項をご確認の上、ご了承いただける方のみ閲覧ください。フィクションであり、実在の団体とは一切無関係です。10二月に入っていた。空気が底を打ったように冷たい。マリナは車の中でわめいた。背中が汗ばんできたからだ。少し厚着をしすぎたようだと後悔しきりだ。もともと寒がりで、かつ貧乏に耐えてきた彼女は、基本的に厚着の傾向がある。それは暖房の行き届いた響谷家のひと冬でも根本的に変わらずにい...

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