嘘
《ご注意》シャルル+鈴影。ちょいとコメディ風味。2018年5月21日。正午。スイス連邦の西部に位置する湖岸の都市ジュネーブ。その一等地にある高級ホテルのロビーラウンジで、二人の男が向かい合っていた。二人の名前は、秘密。鈴影、シャルルとだけ教えておこう。ファミリーネームを明らかにすると、国際問題に発展する可能性があるのだ。お互いに護衛はなし。自国の空港を出るときには、サングラスにマスク、ブラックスーツ...
View Articleパラドクス☆インポッシブル 14
《ご注意》シャルマリ・銀バラ創作です。かつ本作品はフィクションです。楽しんで読んでください。「ミュンヘンの東にランツフートという街がある。小さいが、歴史のある美しい街だ。1408年、公爵ハインリヒは市民たちを集め、もてなしたあと、監禁し、財産を奪い、殺害した」う!「それに反抗した市民たちが2年後に反乱を起こして城に押し寄せたが、公爵は再び彼らをとらえて、首や手足を切り落とした」ううっ!「この陰惨な事...
View ArticleHello
この苦しみから逃れたいと思った自分を、ひどく痛めつけてやることで、魂に刻みつけてやりたい。一生、愛は僕から離れることはない。それが幸せなのだと。運命だという言葉はいらない。だって、運命だというのならば、彼女は、僕のものではないという事実が運命だ。そんな運命はごめんだ。自分の運命は自分で決める。彼女の未来は僕のもの。僕の未来は彼女のもの。たとえ関わらなくてもいいんだ。手をつなげなくてもいい。話ができな...
View Articleパラドクス☆インポッシブル 15
《ご注意》シャルマリ・銀バラ二次創作です。かつ本作品はフィクションです。楽しく読んでください。あたしはあんぐりと口を開けて、目の前で行われている美男美女のキスシーンを見つめていたんだけど、そのうちにハッとした。そうだ、クリームヒルトってシャルルの婚約者の名前だ!一分以上の熱烈なキッスをしたシャルルは、やがて顔を離すと、いつものような冷ややかな目で彼女を眺めて何やら一言。それに対して、キスの衝撃がよっ...
View Articleパラドクス☆インポッシブル 16
《ご注意》シャルマリ・銀バラ二次創作です。かつ本作品はフィクションです。楽しく読んでください。誰よりも先に、ユリウスが叫んだ。「総帥レオンハルト、本気ですか。七聖宝が力を失ったら、騎士団は存在意義を失くしてしまうんですよっ!?」すると、レオンハルトは、表情一つ変えずに答えた。ユメミにはわからない英語で。けれどあたしにはわかってしまうのよね。あたしはこの先を聞いてしまったことを、心から後悔した。「君は...
View Articleパラドクス☆インポッシブル 17
《ご注意》シャルマリ・銀バラ二次創作です。かつ本作品はフィクションです。楽しく読んでください。「おそらくつかまったんだ。全員」シャルルが、はっきりといった。「敵はレオンハルト、君に五発の銃弾を打ち込んだ連中だ。心当たりがあるといっていっただろう。詳しく話せ」皆の視線が、厳しい顔をしてうなだれるレオンハルトに集中する。緑色に見える黒い長髪で、怒りと絶望に満ちた顔を隠しながら、レオンハルトはかすれた声で...
View Articleパラドクス☆インポッシブル 18
《ご注意》シャルマリ・銀バラ二次創作です。かつ本作品はフィクションです。楽しく読んでください。シャルルの病室にかかっていた面会謝絶の札は外れていた。「あれ。おかしいな」と首を傾げながら、アンドリューがノックして部屋に入る。「兄さん、ユメミ!」アンドリューが、押し殺した声で叫んだ。「大丈夫だったの?...
View Articleパラドクス☆インポッシブル 19
《ご注意》シャルマリ・銀バラ二次創作です。かつ本作品はフィクションです。楽しく読んでください。それから、あたしたちはアンドリューが用意してくれたホテルで、一晩を過ごして、約束の夜を待ったのよ。急に連れてこられた美女丸やカークは元気だったけれど、多少の疲れはみせていたし、薫と兄上に至っては直前までベッドとお友達だったという立派な病人っ!はっきりいって、一晩休む時間がとれたことはすごくありがたかった。け...
View Articleパラドクス☆インポッシブル 20
《ご注意》シャルマリ・銀バラ二次創作です。かつ本作品はフィクションです。楽しく読んでください。入ってすぐに、小さな窓口があった。思ったよりもずっと明るくて、窓口のカウンターは木製の飾り彫のうえに、ガラス仕切りがあった。壁はゴシック形式の重厚な木製で、床はレンズ豆色の絨毯だった。警官はおろか、係員の姿もない。「階段が奥にあるよ」アンドリューの言葉に従って、あたしたちは非常扉をあけ、階段を上った。「客席...
View Articleパラドクス☆インポッシブル 23
《ご注意》シャルマリ・銀バラ二次創作です。かつ本作品はフィクションです。楽しく読んでください。「マリナちゃん、お父さんがあと半年だって言われたの」それは、6月に入ってまもなくのこと。あたし愛用の黒電話に届いたのは、ユリナ姉さんの切羽詰まった声だった。半年って……。まさか病気!?あたしが噛みつくように聞くと、ユリナ姉さんはあたし以上のがなり声で答えた。「電話で細かいことを説明している時間はないのよ。母...
View Articleパラドクス☆インポッシブル 24
《ご注意》シャルマリ・銀バラ二次創作です。かつ本作品はフィクションです。楽しく読んでください。そっかぁ、口のべたべたはよだれだったのね。うわ、汚いっ。あたしは枕カバーで口元を拭いながら、不思議に思った。ユメミは、どうして自分のベッドで寝ていないのかしら?首を傾げながら、あたしが上半身を起こすと、シーツの引っ張りでユメミは起きたみたい。「あっ……マリナっ」何度かまばたきしながら顔をあげ、たちまち嬉しそ...
View Articleパラドクス☆インポッシブル 25
《ご注意》シャルマリ・銀バラ二次創作です。かつ本作品はフィクションです。楽しく読んでください。和矢は、ひどく悲しげにあたしを見て、いった。「ごめん。マリナ。俺がシャルルのことを好きだったなんて告白したから、いけなかったんだ。反省している」反省って……。でも、本当の気持ちでしょう?だったら反省することないわ。和矢は自分の心に正直になっただけだもの。あんたのせいじゃない。「和矢、そんな風にいうのはやめて...
View Articleパラドクス☆インポッシブル 26
《ご注意》シャルマリ・銀バラ二次創作です。かつ本作品はフィクションです。楽しく読んでください。病院に到着すると、和矢から連絡が入っていたのか、イツキが玄関口で立っていた。「ようこそ。待っていたよ」とても優しい笑顔であたしを迎えてくれた。シャルルを刺してしまったあたしを責める様子なんてこれっぽっちも見えない。ああ、みんな、なんていい人なんだろう。ありがたすぎて、涙がでちゃう……「シャルルはどう?」イツ...
View Articleパラドクス☆インポッシブル 最終回
《ご注意》シャルマリ・銀バラ二次創作です。かつ本作品はフィクションです。楽しく読んでください。全27話。それから数日後、王立劇場の後始末を騎士団のプラハ支部にまかせたレオンハルトとその一行、そしてあたしたちは、プラハ国際空港にいた。あたしとシャルル、和矢、美女丸、美馬、イツキ、レオンハルトと仲間たちは、ウィーン経由で日本へ。カーク、アンドリュー、カレルはベルリン経由でパリへ。ガイは直行便でロンドンへ...
View Articleパラドクス☆インポッシブル あとがき
皆様、今回も最後までお読みいただきありがとうございました♡今回は、ずっと心の中でくすぶっておりました、「赤いモルダウ」に、果敢に挑戦してみました。いろいろ調べました。西洋史、音楽、美術、戦いの技法etc…でもいちばん私を助けてくれた一言は、夫氏の、「赤いモルダウ?...
View Articleペルデュの森 1
《ご注意》シャルマリ二次創作です。苦手な方は閲覧をご遠慮ください。銀座四丁目のフルーツパーラーで、季節の桃パフェを食べながら薫が言った。 「シャルルがアメリカに渡ったんだってさ。知ってるか?」 あたしは首を横に振った。あたしが頼んだのは限定29杯のマンゴーパフェ。なんと1杯2,800円する。もちろん薫のおごり。細いスプーンからその拍子にカットマンゴーが落ちてしまいそうになり、慌てて指先に力を入れた。...
View Articleペルデュの森 2
《ご注意》シャルマリ二次創作です。苦手な方は閲覧をご遠慮ください。薫はスプーンをかざしながら言った。「だからあたしはシャルルの旅立ちを応援しようと思うわけ」 あたしは黙った。 「お。さすがのお前さんでも多少の罪の意識があるわけね。やつを傷つけたという」 「傷つけたというか……あれは、あたしもめいっぱいだったのよ。ちょっと待ってよ、薫、なんであんたがあたしとシャルルの間にあったことを知っているの!?」...
View Articleペルデュの森 3
《ご注意》シャルマリ二次創作です。苦手な方は閲覧をご遠慮ください。あたしは響谷家に連絡を入れて、薫がアメリカに旅立つ日時をお手伝いさんから聞き出した。今思うと、外部の人間にこんなに簡単に主人の行動を教える使用人なんて怪しいのだけど、その時はただ夢中で「ありがとうっ」としか思わなかった。響谷家は兄上が大変な犯罪を犯したセンシティブな家。個人情報の漏出には特に気を使っている。だから薫の出立日時だって極秘...
View Article